ゲームのはなし諸次第

パラドゲーのAARを置くつもりの場所

アルテュール狼王のこと①(1351~1371年)

少年時代

アルテュール3世
ブルターニュ公にしてモンフォール伯
母から継いだ聡明Trait

アルテュールは賢い子供だった。

亡父ジャン4世が見栄でこしらえた図書室は長らく埃をかぶっていたが、新しい主人はそこへ熱心に通った。母は厳しい人だったが、パリからいくつも新しい写本を取り寄せてくれた。

特にお気に入りはクレスティアン・ド・トロワのブルターニュもの物語。獅子を連れたイヴァン卿、素晴らしきパーシヴァル卿、美徳の騎士たちの大活躍!そしてもちろん欠かせないのが彼ら円卓の偉大な封主、古きブリタニアの王アーサー。

小さなアルテュールにとって、物語で語られる大王が自分と同じ名前を持つことはささやかな誇りだった。

忘れ難い母の死

アルテュールは賢い子供だった。

だから連れられていく母の叫び声を聴いた時も、そして彼女が処刑されたと聞いた時も少年は泣かなかった。泣けば、奴につけ入られるから。

母殺しのパンティエーブル女伯が新摂政に
従姉妹にあたる

パンティエーブル女伯が城に上がり込んで来ると、宮廷の全ては変わってしまった。城の侍女たちは花瓶の花一つ変えることすら女伯にいちいち伺いを立てる。召使たちはどこか皆よそよそしい。

アルテュールは自らの居城で独りぼっちになった。彼を慰めるのはただ物語だけ。

当の母殺しが摂政なので
投獄することもできない

そんな幼い公を哀れに思ったのが、レンヌ司教のルドルフ・フォン・アーベンベルクである。

ルドルフ・フォン・アーベンベルク
レンヌ司教
傲岸な男だがそれに見合う学識の持ち主

司教はアルテュールを城からよく連れ出した。行くのは決まってレンヌの市の聖堂。礼拝のあとで陽が落ちるまで神学について論議するのが、少年の新しい日課となった。

「殿下は唯一正統なブルターニュの主。その権利はキリストの騎士としての奉仕と、神の恩寵にのみ依るのです。摂政殿などに依ってではありません」

「はい、司教様。きっと全てを取り戻して見せます」

ルドルフとの対話
嬉しい性格決定イベント
野心的Traitを得る

聖堂の一角で聖アウグスティヌスについて論じ合っている時、アルテュールは城の鬱屈とした日々を忘れることができた。ルドルフは少年をあくまで一人の友人として対等に扱ってくれる、そんな大人は初めてだった。

このバイエルン人の意固地で気ままな風情をアルテュールは気づけば好ましく思っていた。

その後同じイベントが再び起きて
熱心Traitを獲得
更にルドルフとも友人に

そんなある日、ルドルフはいつになく真面目に言う。

「もう殿下はブルターニュを出なさいませ。ここは危険だ。レンヌにさえパンティエーブル党の影が濃くなってまいりました。」

「…一体どこへ行けば?」

「パリはダメです。まだまだ戦争で大騒ぎだ。ドイツは退屈ですよ、バイエルン人の私が言うくらいには。ナポリにいたしましょう」

「ナポリ?」

「当代のナポリ女王はカペーの家の出、殿下の血族。きっと世話をしてくれるはずです」

ナポリ王国
イタリア随一の大国

マリー・ダンジュー
ナポリ女王
絶世の美女で謳われた

「私は若い頃にナポリ大で学んだことがあります。通えるよう紹介状を書きましょう。逃げるだけじゃなくて学ぶんですよ。それも一介の少年修道士に化けて…心躍りませんか?」

ナポリ大学
ヨーロッパでも古い伝統を持つ大学の一つ

大学。ルドルフの意外な提案に、少年アルテュールの胸は高鳴った。城の蔵書はとっくに読みつくしてしまっていたところ。それに身分を隠して学生たちに紛れ込むなんて、まるでエレイン姫と出会う時のランスロット卿みたいだ!

アルテュールは快諾し、司教の手引きでブルターニュを離れることになった。いざ、花のナポリへ。母を亡くして以来曇っていた心に、ようやく光が差したように少年は感じていた。

ナポリ女王を後見人にする
大学はかなりの費用だが
教育に大きなボーナスが入る

青年の帰還

主の年、1355年。少年アルテュールがブルターニュを出て4年経ったとき。彼はナポリ遊学から帰る事になった。友人のルドルフ司教より、反乱が起きたと手紙が来たからだ。

前女公のブランシェの挙兵である。

ブランシェ女公立つ
戦力差に注目

ブランシェは公位を失ったとはいえブルターニュにおいて最大の領主であり、公軍の二倍以上の兵を擁していた。

そしておそらくは、あのパンティエーブル党の支援を受けている。彼女の婚約者、ギィ・ド・シャティヨンはパンティエーブル女伯の息子だったからだ。女伯は今回の反乱には公然とは加わっていなかったが…。

ドルー=ブルターニュ諸家の系図
ライバルが手を結んでしまった…

そこでアルテュールは女王マリーに助けを求めることにした。

彼をかわいがっていた女王は、同じ名を持つ娘マリーとアルテュールを婚約させることにした。そしてナポリ兵1万を連れて、親征してくれるのだという。これ以上にない申し出だ。

王女マリーとの婚約
カペー一族の名声が結婚に大きな補正をくれる

同盟参戦も快諾
「ナポリ兵の恐ろしさを知るがよい!」

ナポリ軍とブルターニュ軍は合流し、反乱者の軍勢とぶつかり合った。デルヴァルの丘で味方1万5千と敵方6000が陣を敷いた。会戦である。

デルヴァルの戦い

ブルターニュ兵を率いるのは義兄のオリヴィエ・ド・クリッソン。亡き母が見込んだ少年は、公国で一番の騎士になっていた。彼は自慢のクロスボウ兵を率いて反乱軍を叩きのめした。

「あれこそ我がケイ卿だ!」陣で見守るアルテュールは喝采する。

大勝
ナポリの重装騎兵も活躍した

オリヴィエ・ド・クリッソン
義兄にして若き元帥、そして最良の騎士

デルヴァルの戦い以降は反乱軍の勢いは明らかに減じた。前女公ブランシェの座すヴァンヌの街も陥落し、ブルターニュの全土の支配権を少年アルテュ―ルは回復した。

反乱鎮圧

「前女公を牢から出してはなりませぬぞ、あれは危険だ」

久しぶりにあった友人のルドルフ司教は、そう助言する。

確かにそうだ。権勢などナイフ一本で覆せるのだと、私はこの国で誰よりもよく知っている。実際もしアルテュールが死ねば、従姉妹のブランシェはうってつけの後継者になるだろう。*1

「反乱の咎だけで剥がせるのはたかだか1~2領。それではブランシェ殿の力はあなたを上回ったままでしょう。そこでまずはこれを使いませ」

彼の手には数枚の証書が握られていた。

ルドルフによる請求権捏造

亡き母生前からコツコツ請求権を貯めていた

「そして、前女公を牢に入れたままこれを繰り返すのです。彼女の領地は20はありますから時間はかかるでしょうが」

助言通りアルテュールは、前女公からヴァンヌとその周辺を剥奪した。そして主の年1359年、アルテュールは成人し公として政務を始める事を宣言した。

いまやアルテュールは一人前の公、一人前の騎士となっていた。

熱心で野心溢れる不世出の戦略家に
大学での教育が功を奏した

その領地(緑が直轄領)
公国の東南部を中心に地盤を固めた
ブルターニュの中心地ヴァンヌを首府に

公国の掌握

アルテュールは成人してすぐにバチカンへの巡礼を行った。

「敬虔な巡礼」を選んで少しでも信仰点を稼ぐ

ルドルフ司教などが同行し、公はアルプスを越えてイタリアに入った。司教はすでに老境に差し掛かって久しく、この巡礼は彼にとっても悲願であった。

老いていく友人を見るのは辛いものだ…

アルテュールはイタリアで多くのことを得た。古いラテン語の神学書と訳したり、地元の聖所を訪れるなど経験を積む。

そして何より、彼は善きキリスト者としての比類ない評判を集めることに成功した。

すべてのリソースを信仰点につぎ込んだ
フォーカスも神学に振って少しでも増やす

バチカンにたどり着き教皇との接見を許されると、アルテュールはブルターニュの窮状を訴えた。

「前女公ブランシェは魔女の類であり、破門に値します。彼女の私領は公たる私めが治めるべきです」。これに教皇はうなづく。

幸いブランシェの魔女疑惑が発覚し破門に
信仰点でも請求権を得ていく

「また摂政のパンティエーブル女伯は我が母を殺し、ブルターニュを恣としております。彼女より統治を取り戻さねばなりません」。これにも教皇はうなづく。

ここでも信仰点を使って
摂政から権力を奪っていく

こうした教皇の後援に焦りを感じたのか、摂政パンティエーブル女伯が”ボロ”を出す。彼女が公国収入の一部を横領していたことが発覚したのである。

アルテュールは帰国すると、すぐさまパンティエーブル女伯は捕らえ摂政権を剥奪した。こうして彼は名実ともに公国の唯一の統治者となる。

主の年、1361年のことであった。

通常なら定着した摂政は捕縛できないが
横領発覚から派生するイベントでは逮捕できる

早くも定着した摂政制を終わらせることができた

アルテュールによる公国掌握の動きは、その後1364年には完遂することになる。パンティエーブル党の領地は全て没収されて、ブランシェ前女公はイングランドへ追放処分となっている。

だが全てが終わっても、女伯だけは決して牢獄から出さなかった。

囚われの女伯

「やはりあんたはあの女とそっくりだ! 簒奪者の穢らわしい息子め! 篤信など見せかけで、人の物が欲しくて欲しくて仕方ないんだ!」

呪いの言葉を吐く女伯の首を、何度も何度も切り落とそうかと思った。もう母の名を汚させないように。でも、できない。手を下せばこの女と同じになる。

女伯の死
親族殺しtraitがつくのが嫌で獄死させた
脱出イベントが起きる度に捕縛しました

結局パンティエーブル女伯は、その最期まで獄中に繋がれて惨めに死んだ。母ジャンヌが殺されてから、もう10年以上の時が経っていた。

ブルターニュのほぼ全土を直轄化
ひたすら信仰点を貯め請求権を取りました
8000以上は信仰点を使ったはず

公を長年支えたルドルフ司教も同じ頃に卒去している。アルテュールの古い敵も、古い友人も去ったのだ。時代は移り変わろうとしていた。

貪欲なふたり

競技場に押し寄せた群衆の歓声が大地を揺るがし、楽隊の喇叭の音が空をつんざく。

1367年、フランスはノルマンディーの地。そこで開かれたトーナメントは、馬上槍試合の決勝戦を迎えようとしていた。

トーナメント
イングランド海峡に位置するチャンネル諸島で開催された

実を言うと、つい昨年フランスとイングランドは干戈を交えたばかりだった。しかもイングランド王エドワード3世がブルゴーニュ朝を打倒し、新たなフランス王として戴冠したばかり。

今回のトーナメントは、新たに成立した二重王国の両国の騎士が出場する、親睦の意味を兼ねたものであった。

エドワード不屈王
イングランドおよびフランス王
イングランドを勝利に導いた偉大な英雄

成立してしまったイングランド=フランス二重王国
極めて強大

しかしそんな題目はともあれ、フランス人たちは面白くない。イングランド人騎士らはどうも威丈高だ。ここでは連中の鼻を明かしてやろうと躍起になったが、おしくも今回のトーナメントでフランス人たちの成績は振るわない…。

そんな不穏な空気の中で、一人の紋章官が貴賓席の前に颯爽と現れて、口上を述べ始めた。

「ご列席の貴人貴婦人のみなみなさま、お静かにお静かに! さぁ誇りをもってご紹介いたします! 我が主人は鳥に例えれば鷹、木々に例えればレバノン杉、天体に例えれば太陽にございます! シャルル大帝の裔にして、かの大ブリテンの王と同じ名を持つ、騎士の中の騎士! ブルターニュ公爵、アルテュール……ド・モンフォーーォル!」

白貂柄の紋章を身に着けて、騎乗のアルテュールが競技場に入場してくる。彼は並みいる騎士をうち倒して決勝まで駒を進めていたのだ。

騎士姿のアルテュール

フランス人だ。我らが代表だ。必然、歓声は割れんばかりとなる。

そんな会場の熱気を尻目に、アルテュールは貴賓席に向かって手を振っていた。その先には貴賓席の中でひと際目を引く麗人が座っている。白い肌はシルクを思わせ、赤い頬は花びらのよう。

名をマリー・ダンジュー。ナポリ王女にしてアルテュールの妻である。

かつて婚約したマリーが正式に妻に
美人traitの持ち主
執念深く嗜虐的、そして野心を秘める

旗振り役が合図する。いよいよだ。アルテュールは馬を走らせ始めた。トロット、そしてギャロップへ。ランスを留め金と脇でしっかり締める。相手のイングランド人騎士とすれ違ったその瞬間、こちらの槍が敵に突き刺さり、砕けた――命中だ!

優勝!
ゴールドと威信点を稼ぐ

観客たちがワッと湧く。アルテュールは賞品の指輪を進行役から受け取ると、そのまま貴賓席へと駆け上がって妻マリーの前に跪いた。

「我が勝利をあなたに捧げます」

差し出された指輪をマリーはしげしげと見つめ、受け取る。

「私、欲張りなのです。これでは足りません」

意地悪に微笑むマリー。アルテュールもつられて笑みがこぼれる。お互いナポリ育ちで、満足を知らぬところがそっくりだった。

たかがブルターニュ一つ、あるいはトーナメントの作り物の栄光で、足りる二人ではない。より高みへ。私たちならばいけるのかもしれない。不意にパンティエーブル女伯の呪いの言葉が脳裏に浮かんだが、アルテュールは振り払う。

「ならば次は、王冠を」

アルテュールは、マリーの手の甲をとってキスをした。を見た群衆らの歓声はより一層大きくなっていて、いつまでも終わることがなかった。*2

その後も機会を見つけてアプローチし
無事友人となった
マリーがアセクシャルなので魂の伴侶にはなれない*3

似た者夫婦
このあたりからアルテュールは髭を蓄える

 

アルテュール狼王のこと② につづく】

*1:軽率にも姉妹を通常結婚にしてしまったので、子供ができるまでにアルテュールが死ぬとほとんどゲームが詰んでしまう!

*2:単純にトーナメントあんまやったことなかったので出たかっただけなのですがジョストは危険なので避けるべきでした。ただ一応少しはちゃんとしたゲーム的な理由もあるので後述するつもりです。

*3:ゲーム的に言えば、出産確率を向上させるアーティファクトが余ったので妻にあげてブーストする…という狙いの動きでした。あと友人が妻だと時々良いイベントを引いたり、摂政として良く働いてくれます。ちなみにアセクシャルな配偶者は出産確率が多分低いのですが浮気しないので、浮気不倫が地雷の私的には結構助かります。